実は私には実家の家族の次に、長く一緒に過ごしているパートナーがいます。
人ではなく、人以外の生き物でもありません。
それは『1型糖尿病』という病気です。
糖尿病って生活習慣病のあれ?
病名の一部に糖尿病とついていますが、別の病気なんですよ~
私は医師ではないので、病気の詳しい説明は避けますが、日本糖尿病学会の説明ではこんな解説がされています。
1型糖尿病では膵臓のランゲルハンス島に炎症がおこりインスリンを作る膵β細胞が壊されます。その結果、インスリンの量が足りなくなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなることで血糖値が上がります。1型糖尿病の原因はまだはっきりしていませんが、遺伝因子やウイルス感染などが誘因となり、“自己免疫”と呼ばれる機序(外から体に入ってきた細菌やウイルスを攻撃して本来体を守る“免疫”という仕組みが、自分の膵β細胞を壊してしまう)が関与していると考えられています。多くの方で、外からインスリンを注射しないと生命の危機に瀕するようなインスリン欠乏状態となります。
日本糖尿病学会より引用
ざっくりまとめるこんな感じ!
- 膵臓の一部を破壊されて起こる病気(自己免疫が原因かも?)
- 生きるためにはインスリンの注射が必要
毎日インスリン注射を打つ必要があるので、私の生活基盤は衣食住+インスリン注射です!
今日はそんな『1型糖尿病』と私が、今までどんな風に過ごしてきたのかを書こうと思います。
とはいえ、お堅く重たく書く気は一切ありません(笑)
なにせ20年以上この病気と一緒にいて、幸い今も元気で生きていますから、悲観的になっても仕方ない!と思っています。
パートナーなんて格好つけた書き方をしていますが、本音を言えば、『子供のころから一緒にいる手のかかるやつ』という認識です(笑)
もしかすると、ご自身や大切な方が1型糖尿病になられたという方が、今このブログを読んで下さっているかもしれません。
率直な思いを書いていますので、『こんな1型糖尿病の人もいるのね~』と気軽に読んでいただければと思います!
9歳のころからずっと一緒
私は9歳(小学校3年生)の時に1型糖尿病と診断を受けました。
ただ、診断を受けた当時の私も同席していた親もぽかーん…
子供だった私はもちろん、家族も周りの人達も、誰もこの病気を知らなかった…
それもそのはずで、1型糖尿病の患者数は人口10万人当たり10~14人。
10,000人に1人、確率で言うと0.01%くらい…?
我ながらすごい確率を引きました…(笑)
水のがぶ飲みとトイレダッシュ!
『何かがおかしい』と母が気づいてくれたきっかけは、私の水の飲み方とトイレの頻度でした。
インスリンが出なくなり高血糖になる病気なので、当時の私は高血糖による異常なのどの渇きと闘っていました。
時間さえあれば水をがぶ飲み、その後はトイレへダッシュ!
それを日中だけでなく夜中にも、本当に何度もやっていました…
これはおかしいと母が気づき病院へ連れて行ってくれ、そのまま緊急入院になりました。
そこから大体1か月ほど入院をして注射の仕方をみっちり勉強し、無事退院!
退院はできて小学校にも復帰できた私でしたが、1型糖尿病との本当の戦いはここからでした…
1型糖尿病の一番大変なところ
『1型糖尿病で一番大変なのは注射を打つこと?』と質問されることがありますが、
注射自体は1日に何度も打つのですぐに慣れました(笑)
一番辛いのは、努力が報われないことがそこそこ起きるというところですね…
…どういうこと?って感じですよね(笑)
インスリンの注射は食事によって上がる血糖値を正常範囲内に戻すために打っています。
打てばいいというわけではなく、献立や食後の活動量に応じて打つ量を変える必要があります。
さらに女性の方であれば生理周期も考慮しないといけない場合も…
これを毎日毎食休むことなく行い続けます。
どんなにおめでたい日でも、疲れてボロボロの日でも、友達とワイワイ楽しんでるときでも、デートでいい感じの雰囲気の時ですら!(笑)
注射を打たないと高血糖で倒れるリスクがあるので、気が向かなくても毎回計算して打つわけです。
そんな葛藤をしながら一生懸命考えて打ったのに、全く上手くいかずに高血糖や逆に低血糖になることがあるんです…
『昨日うまくいった時と同じ条件で打ったのになんでこうなる!?』ってことすらあります…
しかも、高血糖が続いていると血管が傷んできて、目や腎臓、神経に異常をきたす合併症ってやつが忍び寄ってくるんです…
1型糖尿病は手のかかるかまってちゃんなんです…
この戦いを私は9歳のときから続けています(笑)
ストレスがないとはいえない…
1型糖尿病は現代の医学をもってしても完治は難しい病気です。
なので、思春期も、受験も、就活も、婚活も、妊活など人生における様々な場面で、1型糖尿病はちょっかいをかけてくれました…
そして、先述の通り、インスリン注射を打ち血糖値を管理していくのは一筋縄ではいきません。
残念なことに、生活習慣病と勘違いされたり、心無いことを言われたこともなかったとは言えません。
そんな諸々の理由から、思春期の頃は1型糖尿病の自分が本気で嫌になって、注射を適当にしていた時期もありました…
こう書くと『ストレスしかないじゃない!』と思われるかもしれません。
実際ストレスは…まあ…あります(笑)
でもそんな中でも得られたこともありました。
1型糖尿病になったから得られたもの
忍耐力
1型糖尿病の血糖管理は報われないこともあるし、上手くいかないこともあるけれど、生きるためには決して治療を中断してはいけません。
仕方ないと思いつつ続けていたら、そこそこ強い忍耐力を手に入れることができました(笑)
というのも、社会人になり勤めた会社で上司からこんな言葉を言われたことがありました。
かぴこさんって人生2周目くらいの忍耐力あるよね(笑)
流行りの転生モノかな?(笑)
本当に突然言われたので、笑いながらお礼を言ってしまいましたが、帰宅してから一人で振り返ると、
『そりゃ報われないかもしれないことを毎日続けていたら、忍耐力も鍛えられるな』と納得する自分もいたりして…
思わぬ収穫でした!ポジディブすぎますかね(笑)
大切な人達との出会い
私にはもう一つ、忍耐力よりもずっと価値のあるものを得ることができました。
それが尊敬できる大切な人達との出会いです。
まずは主治医の先生。
大きめの病院に通っていることもあり、先生の異動の関係で私は今まで何人かの先生方にお世話になってきました。
そのうちのお一人が私と同じ1型糖尿病を持つ方でした。
とても聡明で笑顔が朗らかで、患者にも他のスタッフの方にも人当たりがよく、何より医師という多忙なお仕事なのにきちんと血糖値を管理されている…
今も先生は私のお手本です。
その先生も異動されたので今はもう会えませんが、1型糖尿病じゃなかったら人生の目標となる先生に出会えませんでした。
他にも大切な出会いがありました。
それが夫や友人です。
詳しく書くのは恥ずかしいので避けますが…
持病がある人に対する認識はそれぞれあっていいと思うのですが、私は『病気を持っている人』として強く意識されるのは正直苦手なタイプです…
どちらがよくてどちらが悪いという話ではなく、私は1型糖尿病になってかなり長いですし自己管理もある程度は出来ているので、普通の人として接してくれる後者のほうが気持ち的に楽で助かるタイプです。
あとは、病気以外の私の側面をちゃんと見てくれて一緒にいてくれる人と一緒にいたいと子供の頃に気づけたのは疲れない人間関係を作るうえで結構メリットが大きかったかもしれません。
これはあまりないケースですが、悲しいかな病気に対して偏見を持つ人はいて…それが説明しても歩み寄れないかなりきついケースもあるので…
1型糖尿病のことを話すとすぐにそういう面がある人と早めに気付けるので、1型糖尿病を人の本質を見抜くフィルターだと思ってしまう時もあります。
同じ時間を過ごすなら笑顔でいたい
色々書いてしまいましたが、私が1型糖尿病と向き合う上で大切にしていることがあります。
それは、なるべく笑顔でいるようにするということ。
病気が治らないことを嘆いて自暴自棄になるのは、学生の時にもう十分すぎるくらいやりました…
でも、どんなに悲観的になっても現代医学ではまだ治らないのです。
ただ、これはあくまで『今は』というお話。
今この時も、1型糖尿病を治る病気にするために世界中の研究者の方々が治療法を模索してくださっています。
つまり、私が生きている間に治る病気になるかもしれないということ!
完治する方法が見つかるまで、どれくらい時間がかかるか私には分かりませんが、どうやって待つか選べるのなら、なるべくストレスなく笑顔で治る日を待ちたい!
途中で潰れるような頑張り方はせず、細く長く続けられるやり方にする!
これからこのブログでインスリン注射のことや外来の記録も書いていきますが、この考え方を軸にして病気と向き合っていますので何卒よろしくお願いします!
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